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金価格連動型上場投信が危ない?! ETF投資の落とし穴

2008年9月18日、世界的な金融不安の高まりを受けて、オーストラリアの投資銀行Macquarie Groupの株価が一気に23%も暴落した。
数日間で合計38%もの下落である。
翌19日にはかなり回復したが、それでも1年前の株価に比べると半分に満たない。

Macquarie Groupなどと言われても聞いたこともないという人が大半だろうが、実は傘下のMacquarie Bankが、日本の大証に上場されている「金価格連動型上場投資信託」(1328)に含まれているリンク債の約4分の3を発行しているのだ。

「金価格連動型上場投資信託」(1328)は、金価格に連動する投資成果を目指すファンドであり、金そのものに投資しているわけではない。
目論見書によれば、その中身は、Macquarie Bank(約76%)とUBS(約23%)が発行する社債券である。
したがって、その債券発行元の信用リスクを100%負うことになる。
「金価格連動型上場投資信託」(1328)を購入することは、その金額でMacquarie Bankの社債を約4分の3、UBSの社債を約4分の1購入することと同じことなのだ。

もしMacquarie Bankが、リーマンブラザーズのように破綻すれば、「金価格連動型上場投資信託」(1328)の価値は一夜にして4分の1になってしまうのである。

Macquarie Groupの株価下落は、単に投資銀行全体に対する信用不安が原因である可能性もある。
しかし、一度傷ついた信用を回復するのは容易ではないし、同行が発行する債券の価格が急落しており、今後資金調達のコストが上がり、同行の業績はさらに悪化していく公算が大きい。
リーマンやAIGの例を見るまでもなく、何が起こるかわからない時代だ。
「火のないところに煙は立たない」のである。

賢明なる金投資家なら、「金価格連動型上場投資信託」(1328)から離れるのが無難だろう。
東証に外国証券として上場している「SPDR(スパイダー)ゴールドシェア」(1326)は、金の現物を実際に保有するETFである。
少なくともこちらの方が、「金価格連動型上場投信」よりもはるかにリスクが少ないと言えよう。

最近ETFによる投資がブームだが、ETFの中にはこの「金価格連動型上場投信」のように、中身が株券や商品の現物ではなく、単なる社債で運用しているものが多い。
このような金融商品は、ETFではなく、一般にはETN(“Exchange-Traded Notes”)と呼ばれる。

ETNは、インデックスに連動させるためにデリバティブを多用していることも、そのリスクを大きくしている。
金融恐慌のような事態が起これば、デリバティブ取引が平時と同じように機能するという保証もない。

ETFに投資する際には、それが本当に株券なり商品なりの現物で運用されているのか、注意深く調べてみる必要がある。
さもないと、思わぬ落とし穴にはまってしまう事にもなりかねないのだ。

<参考サイト>

マクエイリー株、5年ぶりの安値(英文)
http://www.reuters.com/article/hotStocksNews/idUSSYD35296520080918

「金価格連動型上場投信」の目論見書
http://www.nomura-am.co.jp/fund/pros_gen/Y1141328.pdf

Macquarie Groupの株価
http://finance.yahoo.com/q/bc?s=MQG.AX&t=1y&l=on&z=m&q=c&c=

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